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自動車整備士の現状と車検料金 2―作業内容と考えるべきポイント

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「自動車整備士の現在の立場とは? 1 – 最新情報と課題を解説」の続きとなります。

自動車整備士の現在の立場とは? 1 - 最新情報と課題を解説
自分も以前整備士をしていたからわかるんですが、整備士の立場って低く見られるんです。これは民間の工場でもディーラーでも変わらないんじゃないかと思ってます。こうした体験談も含めて記事にしました。

前回は”現在の整備士の現状”などを話しましたが、実際にどんな事をしているのか?と疑問に思う人も居ますので、自分の体験を元にお話しします。

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車検整備の流れ

自動車に興味の無い方にも車検はどんなものなのかを知っていただく事で、自動車整備というものを理解してもらいたいという思いで記事を書きました。

多少順序が間違っていたり細かい部分は端折っている所があるかもしれませんが、大体の流れとして解説したいと思います。

概算見積書

自分が勤めていた職場の例を挙げて説明します。

車検整備の前には事前に概算見積書をお客様に提示し、内容を丁寧に説明します。

また車検に関連する諸費用はお客様に前払いでお願いしています(一部の場合、車検費用を一括請求することもあります)。

この諸費用には、自動車重量税、自賠責保険、印紙代が含まれています。なお、これらは税金や強制保険であり、車検時に必ず納める必要がある費用です。

*諸費用一覧

 

軽自動車

小型・普通自動車

自賠責保険(24ヶ月)

19,730円

20,010円

重量税

6,600円

~1.0t 16,400円

~1.5t 24,600円

~2.0t 32,800円

印紙代

1,500円

1,600円

 

車検の総額

*車検費用の総額は、諸費用プラス整備料金・部品代・検査料金の合計となります。

軽自動車

約80,000~95,000円

小型自動車 2,000cc未満

約110,000~130,000円

普通自動車 2,000cc越

約140,000~160,000円

 

注・私が勤務していた整備工場の経験に基づいて、車検費用の大まかな合計額を参考にしています。金額には多少のばらつきがありますが、油脂や部品代、工賃を考慮した料金です。上記の金額は、おおよそこの範囲内で収まると予想される目安です。

ただしこれは一般的な相場であり、部品の交換や油脂の交換が少ない場合は上記の金額よりも少なく済むこともあります。逆に部品の交換が多い場合は上記の金額よりも多くなる可能性もあります。

*諸費用以外の料金設定は各店舗によって異なるため、事前に概算見積書を確認しておくことをおすすめします(一部の店舗では、下回り洗浄や錆止め塗装などのオプションも提供されています) 

受け入れ検査

お客様から提出された書類(車検証、自賠責保険、納税証明書など)を確認した後、車両の受け入れ検査を実施します。

この受け入れ検査では、外観の大まかなチェックや各種操作系の動作確認、車両と車検証の一致などを行います。

受け入れ検査によって事前に車両に問題がないかを点検します。

もしも不具合がある場合はユーザーに連絡し、了承を得るように対応しています。

車検整備

点検整備記録簿に基づいて整備を開始します。

この整備は一般的に行われる24ヶ月ごとの定期点検です。

点検整備記録簿に従い、点検すべき箇所を確認しながらユーザーからの依頼事項も同時に対応します。

主な作業内容としては、液体の補充、油脂の状態や汚れの点検、補機ベルトの点検、前後ブレーキの分解と清掃、下廻りの点検、灯火類の点検、エンジンオイルとブレーキフルードの交換、外観のチェックなどがあります。

また、作業中には警告灯(チェックランプ)の確認も行います。クルマのメーターに表示される警告灯(エンジン警告灯、ABS警告灯、エアバッグ警告灯など)が点灯または点滅している場合は、保安基準に適合していないため検査ができません。そのため、警告灯が示す不具合を修理しないと車検が受けられません。

もし作業中に不具合が見つかった場合は、すぐにお客様に連絡いたします。

中間検査

車検整備が一通り終了したら、検査員などによる中間検査を受けます。

この中間検査は、整備を担当した者以外の人が行います。

担当者以外が確認することで、整備士が気付かなかったり見落とした箇所を修正することができます。

完成検査

決められた機器を使用して、車両が検査基準に合格するかどうかをチェックします。

(サイドスリップ、速度計、前後左右のブレーキ制動、排気ガス、ヘッドライト光軸など)

指定工場では、専用の検査機器を必ず利用します。

検査に合格すると検査員は保安基準適合標章を発行します。この標章をクルマに貼ることで、保安基準に適合していることを証明します。

請求書を作成し、最終的な料金をお客様に提示します。

その後、管轄の陸運局に必要な書類を提出し、車検証とステッカーが発行されます。

以上が指定整備工場における業務の大まかな流れとなります。

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効率重視の店舗

上記に挙げた作業工程を通じて、車検の実際を詳しく解説しました。

車検整備は容易な作業ではなく、知識と経験に加えて時間も必要です。上層部の要求にも限界があり、一人での作業は時間的に制約があります。

短時間での車検整備が可能なのは新車や年式の新しい車が主です。

また整備工場では車検整備だけでなく、法定点検や一般修理、クレーム処理、リコール対応など幅広い業務を担当しています。

不正車検のニュース

このニュース記事は、トヨタおよびレクサス販売店における指定整備違反を受けた全4,852拠点総点検の結果と今後の再発防止への取り組みについて報告しています。

https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/36103267.html?msclkid=36ad5666b1a611ecb7e7e081173612b6

総点検の結果、これまで販売店11社12店舗にて不正車検が行われていたことが判明し、トヨタはお客様にご安心頂ける指定整備や点検サービスの提供に向け、必要な人員の増強や、サービス機器の更新などを最優先で進めると共に、不正を誘発する背景となりうる要因を改善すべく、働く環境の改善や、職場風土づくり、改善をリードし継続できる人材の育成などについても、早急に取り組んでいくとのことです。

どこのディーラーでも起こりうる事で他人事とは思えません。

ノルマを達成するために強引に多くの台数を確保し、一日の作業量がキャパシティを超えてしまう結果となります。

当然ながら作業は時間内に終わらず、残業が続くことになります。そのため作業を早く終わらせるために作業や検査を省略し、書類上では検査に合格したことにしてお客様に納車されます。

しかしこのような不正行為は摘発され、関係者は書類送検される結果となります。このような事態になると営業活動は不可能となります。

再発防止策

この事件は単に特定の店舗の問題だけではないように感じます。決して特定のメーカーを批判している訳ではありません。

企業や会社は利益を上げなければ経営が成り立たないのは当然のことです。しかし同時に従業員を大切にすることも重要だと考えます。

現在、会社側は従業員に過酷なノルマを課しているような状況です。

効率重視のために店舗や拠点の従業員に過度な負担をかけるような環境では、従業員にも悪影響が及ぶでしょう。

トヨタはこの事件を受けて、再発防止と信頼回復に向けて努力すると述べています。そのため、この問題を解決するための対策や改善策を実施してほしいと強く願います。

トヨタが打ち出した解決策は他のディーラーや民間整備工場にも参考になるでしょう。業界全体が少しでも改善される可能性があるのですから、ぜひ他社にも広まってほしいです。

自動車ディーラーと民間整備工場の車検整備料金

ちなみに、ディーラー系の整備工場とモータースのような一般の民間工場との料金の違いはあるのでしょうか?

ディーラー車検と民間車検にはそれぞれ特徴があります。

ディーラー車検の場合、自社メーカーの車に詳しいメカニックが揃っており、純正部品も充実しているのでしっかりした整備が期待できます。整備保証が付いてくるのも強みです。

一方、民間車検はディーラーと比較して少なくても10,000円以上は安いとされます。民間車検では予備整備を行っていないところも多く、工賃も低めに設定している業者も少なくありません。安く検査を通すなら民間車検になります。

https://www.mlit.go.jp/jidosha/ninshoutoshiteinochigai.html

車検に掛かる諸費用は税金・保険料・印紙代ですからどの工場も一律同じですから、違ってくるのは整備費用・交換作業・調整作業に伴う工賃や手数料になります。

このあたりは各整備工場の料金設定、ユーザーの乗っている車種や年式・走行キロ数で変わってきます。

自動車ディーラーは純正部品

ディーラーやメーカー直系工場では一般的に指定工場が多く、部品や油脂類には必ず純正品を使用します。

当然ですがメーカー純正部品は割高ですが安全性に優れています。

自社メーカーの看板を掲げており、確実な整備・修理を実施する責任があります。

また検査機器、診断機、専用の特殊工具なども充実しており、さらに潤滑油やグリスなどのケミカル用品も指定のものを使用し、整備保証書も発行します。

これらの理由から料金は高めになるかもしれませんが「クルマのことはわからないからディーラーにお任せ」という方々は、安全性のためにお金を投じるのではないでしょうか。 

自動車メーカーでは、顧客が他のお店に流れるのを防ぐために、新車契約と同時に点検整備料金込みのメンテナンスパックを提案しています。(メーカーによって名称は異なります)

このシステムでは最初に点検整備や車検整備費用を前払いすることで、通常の整備よりもパック料金の方がお得になっています。

長期的な視点で考えると、このようなサービスを利用することもおすすめです。  

民間工場は安い部品を使える

一方、地元の民間認証工場についてはどうでしょうか?

これらの工場ではメーカー純正部品の使用が必要ではないため、純正品以外の手頃な価格の部品を使用することができます。消耗品などの場合、社外品で代用することも可能であり、必要に応じて中古品やリビルト品も利用することができます。

また認証工場には大規模な検査設備は備わっていません。したがって車検の際には最寄りの陸運局(地域の管轄)に車両を持ち込む必要があります。

陸運局では点検整備記録簿や必要な書類を持参し、車両の検査を行います。保安基準に適合していれば車検証とステッカーが発行されます。

個人的な推測ですが、設備投資がそれほど大きくないため、少し安く車検を受けることができる可能性があると思います。

民間整備工場の難点

しかし、ディーラーとは異なり、民間工場にはメーカーとの直接のつながりはありません。そのため、ユーザーが所有する車種によっては、専門知識がなければ整備ができない可能性があります(もちろん、経験豊富なベテラン整備士がいる場合は別ですが)。

近年の車は故障診断時に専用の端末がないとどこに問題があるのかがわからないこともあります。警告灯が点灯していても適切な対処ができないのです。

複雑で難解な修理になると時間がかかることもあります。

そのため民間工場でもディーラーに修理を依頼するケースがあります。

これらの技術的な問題は、民間工場がどの程度設備投資を行っているか、社員の教育に熱心であるか、最新の車に関する情報をどれだけ把握しているかによって変わります。

業者の中には悪質なケースも

一部の業者の中には、修理で解決できる問題を「交換が必要」と偽り、高額な部品代を請求する場合があるようです。

こうした事例は非常にまれですが、見積もりが著しく高額な場合は手間がかかるかもしれませんが複数の整備工場に見積もりを依頼することをおすすめします。

詳細な情報はインターネットで検索するとさまざまな情報が出てくるので、自分で調べてみることも大事です。

まとめ

今回はクルマを所有するユーザーの方々にこのような現状を理解していただきたく、この記事を書きました。

具体的に車検整備の料金や作業内容も載せることで、安全に乗って頂けるような整備を心掛けていると言う事をご理解下さい。

しかし自動車整備に関しては労働環境や待遇面でまだ問題があります。

整備士が不足しているのは「クルマ離れ」だけが原因ではなく、この業界が昔と変わらない考えでいるからだと思います。

この問題はクルマを持つユーザーにも関わる問題ですので、少しでも参考にして頂けたら幸いです。

そしてこの自動車整備士を取り巻く環境が少しでも良くなってくれることを期待しています。

 

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